2024.07.27
私は人を馬鹿にする発言や態度をする人が嫌いだ。
私自身がそれをされることによって傷ついた経験があるからだ。
そのような行為がどれだけ相手を傷つけ、また相手の成長の芽を摘んでしまうかを多くの人に分かってほしい。
私のエピソードを通してそのことを強く訴えたい。
大学の就職セミナーにて
はじめてそのような経験をしたのは、大学3年の時。
ある大手企業の役員がこれから就職活動をする我々学生に対して、講演を行ってくれた。
当時、就職氷河期まっただ中。
参加者は200人ほどいたであろうか、みな真剣な中で私も講演内容に耳を傾けていた。
その講演の趣旨は、学生の時は知識をつける学習を行ってきたが、これから社会人になると、取得した知識を活かすための知恵を身に付けることが大切、というような内容だった。
最後に質問の時間を設けられていたので私は質問した。
「知識は学習すれば身につきますが、知恵はどのようにしたら身に付きますか?」
講師の嘲笑したような笑いの後、それにつられてか学生達からも馬鹿にしたような笑いが起こった。
私はいまだになぜ笑われたのか分からないのだが、そのことにより私は深く傷ついた。
講師の方は、嘲笑した事を後悔したのか、学生達の笑いを制するように言った。
「皆さん笑っているが、この質問はとても大切な点です。」
そう言って丁寧に質問に答えてくれたのだが、すでに私の心は講師から離れていた。
若者が大勢の前で勇気を出して質問したことに対し笑うような人を信用できなかったのだ。
私はそれから数十年たった今でも、そのことを鮮明に覚えている。
そんなことも知らないのか
その経験以来、私は人を馬鹿にすることに対し敏感になった。
普段生活していて、安易に人を馬鹿にするような場面にあうことが割と多くあることに気づいた。
多くの場合、立場が上の人が、下の人に対してそのような態度を取る。
代表的な例が「そんなことも知らないのか」や「そのくらい自分で調べろ」という物言いだ。
そう言われた方はどう感じるだろうか。
多くの人が委縮してしまい、二度と質問できなくなるだろう。
言われた事を悔しく思い、奮起する人はごく少数だろう。
人の質問を笑うな
若手であれば、的外れな質問をすることがあるのは仕方のないことだろう。
その場合に馬鹿にしたような含み笑いをする人がいる。
それをされた方はどう思うだろうか。
恥ずかしい思いをし、傷つき、質問することに対して臆病になってしまうだろう。
間違ってもそれをされて、より積極的に質問をするようになる人はいないだろう。
このような例は日常でもよく見かける場面であり、若手の成長の芽を摘んでしまうことになるので、意識して慎むように努めねばならない。
サブコンがゼネコン部長に対し
あるサブコン代理人がゼネコンの部長に対し、そのような態度をとってしてしまった場面もあった。
キュービクルの連動試験に対し、実際に停電させて動作確認するよう指示したことに対し、サブコンの若い代理人が半笑いで信号確認すればわざわざ停電させる必要ないと反論したのだ。
そのこと自体は大いに議論して結論をだせばよいのだが、半笑いでいってしまったことにより部長は馬鹿にされたと思い、サブコンに不信感を持ち、その後の打ち合わせでもずっと不機嫌なままだった。
その代理人はどうやら普段から半笑い気味に話してしまうクセがあるようで、他人事ながら、このクセは直さないと損する人生を送ってしまうなと思ったものだ。
質問するにも勇気がいる
質問する側は勇気を振り絞って質問をしている。
また若手に技術や知識がないのは当たり前である。
そのようなことを考慮して後輩を育てようという意識があれば、そのような態度を取ることは決してないだろう。
私が新入社員の時に5年上の先輩が私の直属の上司を指して「あの主任すごいだろう、でもお前がそれ以上の実力をつけなければ会社は発展しないんだぞ」と言っていたことを思い出す。
後輩を自分以上の人材に育てるとの思いが大切だ。
それ以来私は、先輩、後輩、上司、部下、サブコン、顧客等、どんな質問をされても決してバカにせず丁寧に答え特に部下や後輩に対しては、質問した事を褒めようと心に決めた。
人を馬鹿にする行為は、馬鹿にする本人にとっては快感をもたらす行為なのだろう。
しかし、された方は長きに渡って心に傷をもつ場合がある。
あらゆるハラスメントも同じだろう。
する側は、される側の気持ちを考えて行動せねばならない。
貴重な人材を皆で育てる意識改革が必要だ。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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