2024.03.09
サブコンはゼネコンに虐げられる。
特に工事現場ではそれが顕著だ。
所長を筆頭に若手現場監督まで、サブコンを見下していることが多い。
昔からそのような風潮があるが、そもそもなぜそのようなことになるのだろうか。
その根本の問題に迫ってみる。
ある現場の工程遅れ問題
新築現場において、躯体工事の遅れにより、そのしわ寄せが設備電気工事にくることは日常茶飯事だ。
散々躯体工事で遅れておいて、最後の最後で設備工事、電気工事のサブコンに対して「仕上げ工事が入るから早く終わらせろ」とは、いったいどの口が言っているのだろう。
そのようなことをいう輩は、もはや人として失格である。
そして、そのような場合は、竣工間際の試運転調整も十分にできなくなるので、竣工引き渡し後に不具合が多発する。
それは当然、顧客に迷惑をかけるわけで、その状況をみてゼネコンはサブコンに「何をやっているんだ」と叱責する。
もはや殺意さえおこるレベルである。
多くのゼネコン現場監督はそういう輩が多い。
サブコンはそういう中で、日々苦労をしながら仕事をしているのだ。
発注金額が最も多い設備電気工事
ゼネコンから下請会社に発注される工種は多岐に渡る。
仮設工事、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事、ボード工事、クロス工事、設備工事、電気工事等、なんと数十種にも及ぶ。
その中で、最も発注金額が大きい工事は設備工事、電気工事だ。
その割合は両社合わせると、3~4割となる。
設備電気工事は工期の全体に渡り関わりが多いこともあり、それを請負サブコンに対して工事全体をまとめなければならないゼネコンとしては、ヒエラルキーを利用して優位に立ちたいという心理が働くのだ。
設備電気の知識がないゼネコン現場監督
人間、自分の理解が及ばないことに対しては恐怖を感じるものだ。
ゼネコン現場監督は、設備電気工事の知識がほとんどない。
だから、それを不気味に感じるのだ。
さらに学ぶつもりは一切ないクセに、そのクセ自分に知識がないことを恥ずかしく思っていたりする。
必然的に知識で勝負すると負けるので、高圧的に従わせようとする心理が働くのだ。
ただ自分の無知を棚に上げて、傲慢というだけなのだ。
ごくまれにいる設備電気に詳しいゼネコン現場監督
しかしごくまれに、真摯に設備電気を学ぼうとする現場監督がいる。
サブコンにもいろいろ教わろうとする。
知識がついてくる。
すると設備電気がどれだけ大変か、どれだけ重要性を理解し、どうすればいい建物となるかが分かってくる。
そしてサブコンの協力なしにいい建物はできないことに気づき、設備電気工事がスムーズに作業できるにはどうすればいいかを考え、行動するようになる。
そしていい建物ができるのだ。
いい建物を建てる優秀な現場所長の多くは、設備電気工事に詳しい。
優秀な所長には理由があるのだ。
もし優秀な現場監督になろうと思うなら、設備電気工事を学ぶべきである。
そこに技術者として大成するかどうかのポイントがあるといえる。
立場逆転しつつある?
時代の流れと共に設備電気工事の比率は更に大きくなっている。
例えばデータセンターなどは、建築工事2割、設備工事3.5割、電気工事4.5割という具合だ。
そうなると設備工事、電気工事が別途発注となるケースも非常に多くなる。
もはや建築工事は箱を作る工事でしかない。
ゼネコンがいつまでも大きな態度を取っていると、その内、しっぺ返しに会う日がくるかもしれない。
そしてそのことに気づいている人は皆無である。
サブコンを虐げる若い現場監督の多くは、まわりの先輩が虐げているから一緒になってやるという、いじめっ子の心理によく似ている。
同調圧力とは恐ろしいものだ。
自分の正義がそれに打ち勝ち、真摯に学ぶ姿勢を保つなかに優秀な技術者への道があるのではないだろうか。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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