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執筆者の写真アルノ

ゼネコンは下請けをいじめてボロもうけ

2023.10.07

一般的に、ゼネコンは下請け会社をいじめ抜いてお金を搾取してぼろ儲けしていると思われがちだ。


昔がどうかはいざ知らず、今は決してそのようなことはない。


むしろ、施主のほうが剛腕をふるってゼネコンをいじめているとさえ感じるくらいだ。


では、ゼネコンの経営の実態はどのようになっているのだろうか。


その真相に迫る。



ゼネコン三つの目標

ゼネコンには大きく分けて、三つの目標がある。


それは「受注目標」「売上目標」「粗利目標」だ。


企業は利益を追求する性質から最も大切なものは粗利目標のはずだが、受注目標も売上目標もそれに匹敵するくらい重要視されている。


時には受注目標に固執するあまり、赤字で工事を請負うこともめずらしくない。


それは建設業界全体の投資金額が減っているからなのだろう。


ゼネコンのみならず、建設業界にとって赤字ほど不幸なことはない。


例えば、ある物件で5社が競合した入札があったとしよう。


そのうち1社が赤字覚悟で受注する。


また別の物件で5社が競合して別の1社が赤字覚悟で受注する。


それが繰り返されて、やがて業界全体の工事単価が下がっていくという負のスパイラルにすらなりえる。


各社、利益目標を最優先してもらいたいものだ。


それが業界全体の利益になるはずだ。



目標と社員数の問題

また、目標と社員数の問題がある。


上記の三つの目標 に準ずるものの一つに社員一人当たりの売上目標というものがある。


一般的に、社員一人当たり一億円の売上がある会社は優良企業という目安がある。


つまり、少ない人数で大きな売上げを稼ぐことも大切な目標になってくるのだ。


しかし、あまり少数精鋭主義にこだわりすぎて人数を絞りすぎると、受注したのに仕事をする技術者がいなくなり、前述の三つの目標が達成できなくなるということにもなりかねない。


大切なのは、社員数と目標のバランスを考えながら経営計画を進めていくことなのだろう。



長期的視点における最重要目標

そこで大切なのは若手社員の登用と育成計画である。


残念ながら、世間のゼネコンに対するはイメージが悪く、リクルート活動においてはどの会社も苦戦しているのが現状だ。


そもそも建設業界に入ってくる若手が減っているという現実がある。


その中で、ゼネコン各社が人材を奪い合うという状況だ。


さらに若手社員の育成方法が確立されていないという問題がある。


多くのゼネコンにおいて、新入社員は現場に配属されて、OJTという名の実戦で学ぶという姿勢がいまだに行われているのが現状である。


その結果、多くの若手社員が激務やパワハラによって辞めていくというジレンマに陥っていくのだ。


団塊の世代の多く辞めていく一方、若手も増えない現状から、ゼネコンの社員数は横ばいならまだいい方で、増えていくどころか減っていく会社もあるのが現実だ。



サブコンや協力会社との関係

冒頭に述べた、下請けをいじめてお金を搾取するというイメージを持たれているゼネコンだが、協力会社に対する現実も悲しいくらい厳しい。


例えばゼネコンが見積に参加したい物件があると、まずサブコンや協力会社に見積を依頼するのだが、見積すらしてもらえないことが多々ある。


理由は、積算部署が忙しい、現場代理人がいない、職人がいない等さまざまだ。


それでも無理を言ってお願いすると、金額が高い見積書がでてくるといった具合だ。


現実は協力会社にお願いしてなんとか積算、工事をお願いするという状況なのである。


どうして、搾取などできよう。


悲しいが、これが実態だ。



昔は、ゼネコンの現場所長ともなると、協力会社の営業担当はひれ伏すようなことがあったようだ。


その時のことを知っている年配の所長の中には、今でもそのように振る舞う勘違いをする人もたしかにいる。


協力会社と対等(それ以下かもしれないが)な関係になった今、健全な状態になったともいえるのかもしれないが、世間のイメージも今の状況と同じようになってほしいものである。






 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。


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