2023.09.02
バブル崩壊後、日本の経済成長は止まっている。
それは、公共工事や民間工事の設備投資減少等が原因で建設業に元気がないからなのか。
それとも建設業界だけでなく日本社会全体の問題なのか。
これについて私自身には持論がある。
決して、建設業界だけが理由ではない。
日本をとりまく社会的風潮のせいだと私は思っている。
その理由を述べていこう。
少子高齢化対策不足
少子化問題が言われるようになったのは1990年代後半だ。
すでに20年以上経過している。
また日本の人口のピークは2010年であり、人口減少が始まってすでに10年以上経過している。
その間の少子化対策は残念ながら人口減少の歯止めには至っていない。
このまま人口減少が進めば、経済規模が縮小するのは当然であり、すでに影響がでてきているのは、多くの方が実感している通りである。
完全週休二日制
1980年代に欧米から日本人は働きすぎとの批判を受け、日本社会は徐々に週休二日制へと移行していった。
全体的な労働時間の短縮により経済規模が縮小することは当然である。
6日労働だった日本社会が5日労働になるのだから単純計算で労働時間16%以上の減少となる。
そして1990年バブル経済は崩壊した。
私には、急激な労働力の低下とバブル崩壊が無関係とは思えない。
消費税導入
消費税を導入すれば経済成長は減速する。
導入するタイミングも大切だ。
景気上昇時に導入すれば上昇率が減少するが、景気減速時に導入すれば致命的ダメージを受ける。
あたかも共振現象をおこすかのように。
消費税は1989年に3%、1997年に5%、2014年に8%、そして2019年に10%(軽減税率対象物は8%のまま)と変遷してきた。
それぞれのタイミングとGDP成長率を見てみると、消費税3%導入時には、1989年の6.79%から急激に下降し、1993年には-0.52%に落ち込んだ。
消費税5%導入時には1996年3.13%から1998年-1.27%に下落した。
消費税8%導入時には急激な下降こそなかったものの上昇せず低空飛行をつづけている。
消費税10%導入時にはコロナの影響もあり-0.40%から-4.28%と大ダメージを受けた。
このように定期的に消費税率を上げることにより、絶妙に日本経済が成長するのを妨げているのである。
長時間労働の是正
昨今の働き方改革により、長時間労働の是正が急激に進んだ。
残業も減り、ブラック企業も減少した。
しかしそれは同時に、完全週休二日制同様、日本社会全体の労働時間を減らすことになる。
当然経済の成長へも大きな影響を与えることになっている。
長時間労働と経済成長は裏腹の関係である。
経済が成り立っていれば長時間労働を是正してもよいだろうが、経済が縮小している状態で長時間労働を是正するのは経済縮小を敢えて狙っているとしか思えない。
戦後、長時間労働をせねば生きられなかった時代の人達が長時間労働を問題にしたであろうか。
長時間労働の是正は、経済成長があってはじめて行うことができる施策なのではないだろうか。
過剰なハラスメント対策
当然ハラスメントは決して許されるものではない。
しかしそれは客観的にみてもハラスメントと判断できるものに限るべきである。
例えばセクシャルハラスメントにおいて被害者がハラスメントと感じた場合、すべてハラスメントであるとなれば、デブでハゲの部長は存在するだけでハラスメントである。
例えばパワーハラスメントにおいて被害者がハラスメントと感じた場合、すべてハラスメントであるとなれば、遅刻や欠勤、安全を守るため等で注意しなくてはならないことがすべてできなくなってしまう。
それらは社員や会社の成長を妨げ、経済全体へも影響を与えるだろう。
DX化の遅れ
先進諸国やBRICS諸国は、軒並みDXに力をいれてきた。
日本でDXが叫ばれてきたのはせいぜいここ数年である。
あらゆる業界において日本はDX化に後れをとっている。
DXの遅れは、経済効率に直結するばかりでなく、DX分野でのマーケットシェアでも後塵に帰すことになる。
他国に比較して経済成長が低くなるのも当然のことである。
いかがであろうか。
厳しいことを言うようだが、経済が成長していない状況で、働き方改革をすれば会社は給料を増やすことができず、貧困化が進むのは自明である。
貧困化を免れたいのであれば長時間働くしかないだろう。
日本が歩んできたここ30年の社会現象や経済政策は意図的に日本経済が成長しないようにしているとも言っていいほどさまざまな悪影響を与えてきた。
日本経済がだめなのは、建設業界だけの話でなく日本社会全体の話ではないだろうか。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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