2023.04.08
工事現場でレアな存在であるゼネコン設備担当。
ゼネコン建築担当、サブコン現場監督などは工事現場に常駐しているが、ゼネコン設備担当は多くの場合、現場に常駐していない。
一説には現場でゼネコン設備担当に会えると何かいい事があるとも言われている、いわゆる新幹線でいうところのドクターイエロー的存在だ。
一方で考え方によっては、現場に常駐しないような人なら、別にいなくてもいいのでは?とも思ってしまう。
もし、現場にゼネコン設備担当という人がいなかったら、いったいどうなるのだろうか。
ゼネコン設備担当がいなくても建つ
はっきり言ってしまうと、ゼネコン設備担当がいなくても現場は納まるし建物は建つ。
なぜなら、ゼネコン建築担当がまがりなりにも設備工事をみるし、設備工事は専門家であるサブコン現場監督が常駐しているからだ。
やはりゼネコン設備担当はいてもいなくても良いのではないか、否むしろいない方が経費もかからず良いのではと思える。
実際、会社の規模が小さいゼネコンなどは、設備系技術社員の建築系技術社員に対する割合が低い。
例えばスーパーゼネコンは建築系技術社員に対し、設備系技術社員は20%前後いるが、大手ゼネコンだと15%前後となり、中堅ゼネコンだと10%前後と規模が小さくなると設備担当の割合は低くなる。
中小ゼネコンだと設備担当がいないという会社も少なくない。
つまり、ゼネコン設備担当がいなくても建物は建つのだ。
では、なぜゼネコン設備担当がいるのか。
ゼネコン建築担当、サブコン現場監督が現場のことをどのように思っているかを確認した上で、設備担当がいるとどう違うのかを確認してみよう。
ゼネコン建築担当の目線
ゼネコン建築担当は、設備工事について詳しくなく、さらに言うと興味がない。
ひどいと、別途工事のような感覚の人さえいる。
建築担当が作成する現場の全体工程表を見るとその意識がよくわかる。
設備工事という項目を見ると、着工から竣工まで一本の線が引かれているのみでその内容については一切ふれられていないことがほとんどだ。
建築担当で設備工事のことを学ぼうとする、関わろうとする、品質を管理しようとする人は皆無といってよい。
設備工事に対し、その程度の意識しかもっていないのだ。
サブコン現場監督の目線
一方、サブコン現場監督はどうだろうか。
彼らは設備工事のプロだ。
当然、納まり、工程、品質について責任を持って仕事をする。
しかしそれは、あくまでも設備工事に限ってのことだ。
なぜなら彼らは、他の工事について意見する立場にないからだ。
他工事との取り合いは、ゼネコンが行うことであり、彼らの仕事は設備工事を責任もって納めることだ。
つまり、サブコン現場監督は、工事全体のことや建物全体のことを考えることが非常に難しい立場にいるのだ。
ゼネコン設備担当の存在意義
ではそれらを踏まえ、ゼネコン設備担当がいると何が違うのだろうか。
彼らには設備工事の品質、工程、コスト、安全がゼネコン、しいては顧客が要求するものかどうかを判断して打ち合わせをすることができる。
建築担当がサブコンに何か言っても、設備工事に対する知識がないから無謀な指示をしたり、技術的に言い込められたりしてしまう。
それが設備担当だとサブコンと同じ技術レベルで、工事全体のこと考え、さらに顧客目線でサブコンと一緒に検討することができるのだ。
さらに設備担当の技術力が高ければ、サブコンよりさらに上の提案をすることさえできる。
つまり、設備工事の品質が上がり、工事全体の事を考えられ、より顧客の為の建物を建てることができるというわけだ。
いかがであろうか。
ゼネコン設備担当がいなくても建物は建つ。
しかしそれなりのものしかたたない。
一方、ゼネコン設備担当がいるとよりレベルの高い建物がたつ。
そこにゼネコン設備担当の大きな存在意義があるというわけだ。
この違いは見えない場所の品質向上だけでなく、顧客の使い勝手の上からもとても大きく、建物ができてから「なぜこうなっているんだ」「こうしてくれれば便利だったのに」といったようなことを防ぐことができ、使いやすい建物ともなるのだ。
それはすなわち、大手ゼネコンと中小ゼネコンの技術力の違いの一つとも言えよう。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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