2022.03.26
建設業界における女性の進出がすすんできている状況は多くの人が感じているのではないだろうか。
業界全体の人手不足が懸念されるなか、今後も女性の活躍は必須になってくるだろう。
国土交通省も総力を挙げて進めてきている結果、徐々に成果が実ってきている状況だ。
今回は、ゼネコン女性建築技術者の現状と今後直面するであろう課題を問題提起し、今後の女性の活躍が期待できるゼネコンとはどのような会社であるかを検証する。
女性が働きやすい現場環境
昔の建築現場において女性を見かける事は皆無であり、100人200人と職人さんがいる現場で1人いるかどうかという程度だった。
完全男性社会であるせいか、建設業界は3Kと言われ、女性を受け入れない完璧な環境であった。
その頃に比べれば今の建築現場における環境は隔世の感がありここ数年、女性が働きやすいような環境に大幅改善されてきている。
例えば、次の通りだ。
・女性専用トイレ、ロッカーの設置
・女性には現場仕事は無理という偏見の希薄化
・女性に対する男性の態度(下ネタ、ハラスメント)の改善
・産休、育休を取得しやすい社内制度の整備、風土の変化
まだまだ十分といえないにしても、確実に成果がでているのではないだろうか。
現場で活き活きと活躍する女性を見るととても頼もしく思え、今後もますます働きやすい環境になってほしいと思うものだ。
建築技術職の男女比
ゼネコン建築技術職における女性の比率は、10年程前までは5%にも満たなかった。
それがここ数年で平均7%~8%、なかには10%近くまで比率を増やしているゼネコンもあるようだ。
という事は、新規採用において各社とも女性の登用を増やしており、10%を超えるような割合で採用を進めているという事なのだろう。
国土交通省は2025年頃までにゼネコン建築技術者全体における女性の比率を10%程度になるよう目指しているようだが、私の個人的な肌感覚だと20%程度まで上げられる、そして上げる必要があるのではないかと感じている。
まだまだ、これまで以上に女性の比率を上げる努力が必要のようだ。
女性特有のライフイベント
女性が社会進出するにあたって、必ず考慮しなければいけないことは、女性特有のライフイベント、つまり妊娠、出産、そして育児だ。
妊娠、出産については産休、育休期間としてどうしても職場を一時的に約2年間離脱しなければならない。
2人、3人と出産する場合には、離脱期間も相当長くなる。
育児については、育休明けに、パートナーや祖父母の協力を得る環境を整える事も大切とは言え、女性自身も育児と仕事を両立せねばならず、心身のストレスは相当なものになるだろう。
ここにもいままで以上に心身両面に対する手厚いサポート制度が必要だ。
今後、直面する課題
そして今後、直面する最大の課題は、育休明け職場復帰するにあたって保育園、幼稚園の送迎があり、どうしても時短勤務になってしまうということだ。
また、子どもが熱を出したり、保育園から呼び出しがあったりする事も日常茶飯事だ。
多くの人がご存知の通り、ゼネコン現場監督は長時間労働の代名詞ともいえる過酷な労働環境だ。
そんな中、職場復帰した女性や、育児に協力する男性に現場監督という激務が時短勤務の中で果たして可能なのであろうか。
逆にいうと、このような面からも現場監督の労働環境の改善が求められるとも言えるのかもしれないが、一朝一夕ではいかないだろう。
だからと言って、職場復帰した女性社員全員を内勤にするわけにもいくまい。
ここに近い将来直面する、解決しなければならない最大の課題がある。
ゼネコン各社は少なくとも、育休が明けてから子供が小学生になるまでの約4年間をどのように勤めるかを確立しなくてはならない。
今後の展望
女性の比率が10%を超えてくると、どのゼネコンにおいてもこのような問題に直面するだろう。
ゼネコン建築技術職を希望する女子学生の多くが、これらの問題を気にはしていながら、OB面談や入社面接ではなかなか聞きにくいという事もあるのではないだろうか。
そのような事を考慮すると、前述したような問題に対する解決策を確立し、提供することができるゼネコンが、ますます優秀な女性技術者を獲得し、人材不足の問題に対して一歩優位になっていくのではないだろうか。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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