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執筆者の写真アルノ

ゼネコン建築社員の社員教育はむずかしい

2021.08.28

ゼネコンの建築系社員の社員教育は基本的にOJT(オンザジョブトレーニング)である。

つまり実践で学べという事だ。


これがいいか悪いか、そしてこれを教育と呼べるかは別にして、ゼネコン(専門会社を含め建設業全般)には集団社員教育を行いにくい側面がある。


ゼネコンの社員教育の現状と課題をみてみよう。



社員の現場配置

建築現場のゼネコン社員は竣工し、着工するたびに職場が変わる。


会社が工事を受注したらその日から突然、現場の準備が始まる。


現場の人員配置を決める時、多くはその前後に竣工した現場の社員が配置される。


配置される社員が今まで経験した工事に対し、現場の大きさ、建物用途、工事金額、工期などは考慮されず、基本的に着工と竣工のタイミングで決まる。


したがって本人の希望や今後のキャリアなどを考慮することは難しく、それぞれに合わせた人材育成計画を立てて実行することもむずかしい。


そのような中での社員教育なので、OJTが教育8割と言ってもいいくらいの大部分しめ、補完として単発で各種研修を行う事になる。


では、はじめにOJT研修ではどのような事が行われるかみてみる。



OJT研修

新入社員は、本社などで行われる数週間の新入社員研修が終わると各自現場に配属される。

そして即、実践が始まる。


始めは教育担当の先輩の指示で現場の掃除や墨だしの相番などの雑用を行う事が多い。


そうしながら、現場の流れ、職長や職人さんとのコミュニケーションの取り方等を学んでいく。


次第に、担当工種を受け持つようになり、技術力の幅と深さを身につけていくという事になる。


その間、当然失敗は何度もするし、その度に先輩や上司に怒られる。


教える方も教育の素人だから、効率的に教育を行う事が望めないのは仕方ないし、その事はどの会社、どの業界でも大きく異なることはないだろう。


OJTを通して仕事の大部分を学ぶが、現場だけではなかなか習得がむずかしいようなことは、補完してそれに特化し会社として研修を行う事になる。


次からは、特化した研修とはどのようなものがあるか見てみる。


キャド(BIM)研修

キャドやBIMの操作を独学で学ぶ事はなかなか困難だ。


また独学だと操作が我流になってしまい本来の機能や便利な機能を使いこなすことができない事もあるだろう。


したがって、キャドやBIMの習得については短期集中研修を行う事が多いようだ。


方法は、外部講師に来てもらったり、関連会社にお願いしたりまちまちだが、一通り操作をまなんだら、現場に戻ってすぐ役に立つので非常に有効な研修だ。


資格研修

資格の取得はどこまでいっても自身の合格への強い意志がなければむずかしい為、強制的に参加させても大きな効果は期待できない。


あくまでも本人のやる気を起こし、その上での手助けを行うという事になる。


例えば一級建築士を取得していなければ部長にはなれないという脅迫や、資格を取得すると報奨金や給与アップの制度があるという誘惑等の工夫している会社もある。


なかには一級施工管理技士を何回か不合格になると強制的に内勤になり、現場手当がなくなり毎月の給与が数万円下がる、といったようなおそろしい制度がある会社を聞いたことがある。


資格取得のための研修は学校に通うのに補助金をだしたり、学校から講師を呼んで、講義や宿題に対する添削をしたり会社によってさまざまである。



年代研修

年代研修は会社によっては行わない場合もあるが、5年目や10年目など、決められた時期に同期や同年代で集まって交流を図るものだ。


その目的は、同年代の繋がりを強め、相談できる関係をつくることや同年代と自分の力の差を認識すること等さまざまある。



メーカー研修

メーカー研修は特に設備、電気の社員などに多いのではないだろうか。


配管、空調、火報、放送等の専門メーカーが主催する技術セミナーだ。


今までは1か所に集合して研修を行っていたが、最近ではコロナ禍の影響でオンラインの環境も急激に整備された関係もあり、各メーカーオンラインでの研修も多く開催されるようになり、現場や会社にいながら受講できるようになってきた。


目的は当然、専門知識の習得である。



以上、代表的な研修形式を羅列してみたが、このほかにも独自の研修を設けている会社も多くある。


もし、自社に上記のような研修制度がなく、有効と思われるならば企画してみてはどうだろうか。



ゼネコンには現場の数だけ、職場がある。


その為、定期的に会議室に集まって講習会を行うなどの教育は他の業界に比べてむずかしい。


そのほとんどをOJTに頼る関係上、会社の財産たる人材を育成するのには、OJTにおける教える側の育成力が大きく影響する。


しかし、この育成力向上に力をいれているゼネコンはほとんどない。


10年後20年後の会社を技術者集団としたいならば、そこに大きなチャンスがあるのではないだろうか。






 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。

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